新入社員が退職しない会社をつくる9つの方法


今、新入社員の早期退職が問題視されています。事実、大卒の新入社員の3割が入社から3年間以内に退職しているという厚生労働省の調査結果があります。新入社員の早期退職は企業にとって大きな痛手です。新入社員の採用・教育にかかった多くの労力や費用、また、会社全体の人事計画の変更も余儀なくされ、損失はとても大きなものです。そして、退職する新入社員本人にとっても、自分の経歴に傷がつき、今後の仕事人生において不利な状況をもたらすことになり、互いに良いことはありません。

最近は景気が上向いてきたとは聞きますが、まだ不安定な雇用情勢の中で、あえて退職を選択する理由はどこにあるのでしょうか。よく、最近の若者は我慢を知らない、根性がない、甘いからだと言われていますが、果たして問題は退職する新入社員だけのものなのでしょうか。受け入れる企業側もただ嘆くだけでなく、新入社員が働きやすい環境整備を行うことが必要です。そこで、新入社員が退職しないために会社で何ができるかについて9つの方法を紹介していきます。

 

新入社員が
退職しない会社をつくる9つの方法

 

企業理念を策定する

皆さんの勤めている会社には企業理念や経営理念はありますか。また、ある場合に何も見ないで唱和することができますか。理念は多くの会社に存在しているはずのものですが、実際に自社の経営理念の内容を理解し、実行に向けて努力している人は少ないのが現実です。本来会社が存続していくためには、社員は同じベクトルで進んでいかなければならないはずです。理念を浸透させることは会社の進むべき道をしっかりと示すことにつながり、社員が判断に迷った際も迷走することなく進む一助となるでしょう。しかしただ策定しただけでは絵に描いた餅で終わってしまうので、浸透させることが重要です。我が社は何の為に存在し、社会にどう貢献していくべきかを新入社員と考え共有してください。愛社精神を培う第一歩になります。

 

経営トップの考えを社員全体に伝える機会を設ける

日々の仕事に追われ、先のことが見えなくなってしまうと、自分はこのままでいいのかという将来への不安がわいてくるものです。そのような状況を自ら打破できるよう、物事を高い視点で考えることができる新入社員に育成したいところです。効果的な方法として、社長等の経営トップの考えを頻繁に伝えることです。経営的な視点が身に付いてくると、今自分がしている仕事も会社が発展していくために必要なことであると理解できるようになります。そして、将来自分が経営者になったらこうしたいと思えるようになると、仕事に対する意欲もさらに向上していくでしょう。

 

新入社員教育制度を充実させる

新入社員は仕事を通じて自分を成長させていきたいという意欲に満ちています。そのような彼らに対し、しっかりとした教育体制を整えることが重要です。業務的な授業も大切ですが、外部研修を受講させたり、今後のキャリアプランを設計する等のビジネスマインドを養うための教育メニューもぜひ組み込んでください。「鉄は熱いうちに打て」とあるように、入社直後に行う教育は今後の会社生活に大きく影響してきます。教育制度が充実している会社の社員は離職率が低いと言われています。また、会社が新入社員に対する期待を示すことにも役立ちます。

 

上司・先輩への指導に関する教育を実施する

新入社員への教育の重要性については上記で述べた通りですが、受け入れ育てていく部署の上司・先輩もどう指導していくべきかについて教育することも大切です。向上意欲を持って配属された新入社員のモチベーションを低下させずに、実践を積むことでの会社に貢献する人材へと育てるにはどう指導していくべきか、また、厳しさの中にも優しさを持った指導方法等、全てを上司・先輩の裁量に任せるのではなく、会社全体で関わっていく組織づくりが必要です。

 

新入社員が気軽に相談できる環境を整備する

新入社員が退職を決意するまでには、何度も悩み苦しむ日々が続いたはずです。もし初期の段階で職場の誰かに相談できていたら、その悩みの多くは解決できていたでしょう。はじめに抱いた悩みはほんの小さなものでも、自分だけで抱えてしまったがために、最終的に退職まで追い込まれてしまったというケースが多くあります。序列や年齢を問わずに円滑なコミュニケーションがとれる風通しの良い職場風土づくりが必要です。

 

社員一人ひとりが夢を持って働ける環境を整える

内容は異なりますが、人は夢や目標を持って生きていくことで、困難な状況でも前向きに対処出来るようになっています。生きる希望がない人は何事にも後退的になり輝きを失います。そして自分の身近で働いている上司や先輩が輝いていなければ、他人にも自然と伝わり、職場全体の空気はギスギスしたものになってしまうでしょう。そのような会社で働きたいとは思わなくなります。社員全体が活き活きと働ける環境を整えるために、ぜひ、将来のビジョン設計や夢に基づいた働き方の提案等を、会社側で仕掛けていってください。

 

過酷な労働環境の改善を図る

今、「ブラック企業」と言われる会社の中には、長時間労働やサービス残業を強いることがあると話題になっていますが、社員に長く健康的に働き続けてもらうには、過度の過酷労働は改善していかなければなりません。もちろん、長い会社生活の間では、歯をくいしばって働くこともありますが、それが恒常的になってしまうと、健康を害したり、心の病を引き起こす原因になります。社員の健康を大切にしない会社は、よい人材が集まるわけがありません。昔のようにがむしゃらに働いてこそ一人前だという古い考えは現代社会においては通用しません。見直しが必要です。

 

8.新入社員に達成感をもってもらう

丁寧な新入社員教育が必要だと前述しましたが、逆に失敗を恐れて、新入社員には雑用ばかりを押しつけている職場もあるようです。もちろん下積みの業務を教えることも重要ですが、そればかりが続いてしまうと、高い意欲を持ってやってきた新入社員のモチベーションは低下してしまいます。上司や先輩は、ある程度の仕事を任せる環境を作ってあげることで、成功したときの達成感を与えてあげましょう。一度成功すると、さらに頑張ろうと仕事への情熱が増してくるはずです。

 

コンプライアンス意識を徹底する

コンプライアンス遵守の徹底は企業が存続していくために重要なことです。そして最近の新入社員は早期に教育を受けているため、コンプライアンスに対する意識が高いと言えます。一方で最近までそのような概念なく過ごしてきた人は、まだまだ意識が低く、平気でコンプライアンス違反している上司や先輩をみた新入社員は幻滅して、こんな会社で働いていたくないと思うことは必至です。コンプライアンス意識の徹底は会社全体で取り組んでいくべき問題となっています。

 

新入社員が早期退職する原因は、全て新入社員側にあるわけではありません。受け入れる会社側にも問題が潜んでいることも多いようです。現代の若者は給料だけでは働く意欲を保ち続けることは難しい中で、新入社員の仕事に対するモチベーションをうまく保てるよう環境を整えることが必要なのです。その方法は上記で紹介したように、働く社員が一丸となって取り組むべきものばかりです。皆が気持ちよく働ける環境は新入社員だけでなく、全ての社員の意欲向上につながっているのです。そしてその努力は報われ、いずれは業績にも反映してくるでしょう。

 

まとめ

新入社員が
退職しない会社をつくる9つの方法

・企業理念を策定する
・経営トップの考えを社員全体に伝える機会を設ける
・新入社員教育制度を充実させる
・上司・先輩への指導に関する教育を実施する
・新入社員が気軽に相談できる環境を整備する
・社員一人ひとりが夢を持って働ける環境を整える
・過酷な労働環境の改善を図る
・新入社員に達成感をもってもらう
・コンプライアンス意識を徹底する

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