解雇通知書を作成する際に使える!一般的な9つの文例


解雇通知書を作ってほしいと言われたら作ることができますか?解雇通知書は文字通り、従業員に解雇を言い渡す書類です。解雇通知書には、ただ「解雇を通知します」と書くだけではなく、解雇する理由を労働基準法や社内規定を根拠に具体的に書く必要があります。書き方によっては労働者に納得してもらえず争う可能性もあるので、作成する際には慎重にならなければいけません。これを聞くと、そんな重要な書類はとても書けない、と思うかもしれません。

しかし、労働基準法や社内規定は解雇理由と照らし合わせて調べれば難しいことではありません。解雇理由も事実をきちんと書けば、相手に納得してもらえるはずです。また、解雇通知書をきちんと作成していれば、いざというとき、会社は後付けで書いているわけではないと労働組合や裁判所に判断してもらえます。けれども、実際のところ「どうやって書けばいいか全然わからない…」と頭を悩ませる方は多いと思いますので、今回は解雇通知書を作成するにあたって使える文例を紹介したいと思います。

 

解雇通知書を作成する際に使える!一般的な9つの文例

 

1.自然災害などによりやむを得ない場合

弊社は先日の豪雨により工場が水没し、一部の設備が使用できず、事業再開の目途が立っておりません。
よって、誠に申し訳ありませんが、平成○年○月○日付で解雇することを、労働基準法の規定により、本書面により通知致します。
解雇予告期間として不足する○日分の平均賃金は、退職金と含め貴殿の給与振込先口座へお支払いたします。

地震や洪水、津波などで会社や工場が機能しなくなってしまうことも。このような場合、解雇予告手当や退職金についてしっかりと記載し、従業員を不安にさせないよう注意しましょう。

 

2.事業の継続不能を理由にした場合

弊社は、景気低迷による業績不振を理由により、事業の継続不能に陥りました。
よって、誠に申し訳ありませんが、平成○年○月○日付で解雇することを、労働基準法の規定により、本書面により通知致します。
なお、解雇の予告期間として不足する○日分の平均賃金についきましては、貴殿の給与振込先口座に入金致します。

突然の解雇で従業員が気になることは解雇予告手当がもらえるかという点ですので、それについて明確に記載する必要があります。

 

3.成績不良の場合

貴殿は、当社で規定されている技術や方法に従わず、また、成績不良による降格や指導があったにもかかわらず改善の見込みが認められませんでした。これにより、勤務成績または効率が著しく不良で就業に適さないと判断し、当社就業規定の第○条に該当するため貴殿を解雇いたします。

成績不良で解雇する場合、客観的で合理的な理由があることが非常に重要です。会社側は成績不良や本人について指導をしたが、改善できなかったという事実が大切になってきますので、しっかりと記載しましょう。

 

4.経歴詐欺を行った場合

先般、社内調査により、貴殿の履歴書に記載されていた資格につきまして、取得した事実はなく、履歴書に虚偽があることが確認されました。
貴殿の行為は、採用に資格ががかかわることを承知のうえでの詐称であり、情状酌量の余地はありません。
よって平成○年○月○日付で貴殿を解雇することを決定し、ここに通知いたします。

経歴詐欺のポイントとしては、従業員の本当の経歴を知っていたなら採用しなかったであろうと認められるほど重大かどうかです。その点について記載するよう注意しましょう。

 

5.飲酒運転で事故を起こした場合

貴殿は、平成○年○月○日、業務中に飲酒運転により甚大な事故を起こし、起訴されました。
この事故により、企業としての信用が損なわれ、多大な損害を与えました。
当社就業規定第○条を根拠に、平成○年○月○日付で貴殿を懲戒解雇と致します。

業務中に飲酒運転で事故を起こした場合、会社が使用者責任を問われることとなります。損害賠償が発生する場合や会社の信用が損なわれ会社経営に大きな影響を与える可能性があります。その旨をしっかりと書きましょう。

 

6.損害賠償を求める場合

貴殿は、平成○年○月○日から平成○年○月○日の間、不正な○○を行い、当社に○○万円の損害を与えました。
上記行為は当社就業規則第○条に違反しています。また、同規則の解雇事由に該当いたします。
よって平成○年○月○日をもって貴殿を解雇することを通知いたします。
併せて損害賠償を請求しますので、○日より○日以内に当社が被った損害金を当社宛にお支払願います。

従業員の不正な行為により会社が損害を受けた場合、その金額といつまでに支払うべきかを記載しましょう。

 

7.無断欠席が続いた場合

貴殿は平成○年○月○日から現在に到るまで、長期無断欠勤を続けております。また、再三にわたり理由書を提出するよう求めましたが、これに応じませんでした。
当社企業規則第○条の項の規定に基づき、平成○年○月○日をもって貴殿を解雇することを決定するとともに、ここに通知致します。

無断欠席がいつからいつまでなのか正確に記入する必要があります。また、理由書を出すよう求めたこと、それに応じなかったことも争った際には重要となりますので、きちんと書いておきましょう。

 

8.風紀紊乱で他の労働者に悪影響を及ぼす場合

貴殿は当社の女性社員に断られているにもかかわらず執拗に交際を求める行為をしました。また、交際を求める行為を中止するよう上司に説得されましたが、それにも応じませんでした。これにより、社内秩序が乱れ、業務に支障がきたしています。
よって、平成○年○月○日付をもって当社就業規定第○条を根拠に、貴殿を解雇することを決定し、ここに通知いたします。

男女関係は労働契約外の問題なので、基本的に会社は干渉できません。しかし、夫婦間の問題が職場に持ち込まれた場合や社内秩序に多大な影響を与えた場合は認められますので、社内にどのような影響があったかを記載しましょう。

 

9.仕事態度が改められない場合

貴殿は、社内の仕事の処理に関する規定を守らず、また、上司や同僚とのトラブルが生じていました。再三にわたる注意と直接指導が行われたが、真摯な勤務態度および技術向上に対する意欲がみられませんでした。これにより、当社の就業に適さないと判断し、当社就業規定の第○条に該当するため貴殿を解雇いたします。

どのような点が就業に適さないと判断されたのかを記載しましょう。また、注意や指導があったこと、改善が認められなかったことが大切となりますので、そちらも併せて記載する必要があります。
いかがだったでしょうか?

今回お伝えした文例をもとに、それぞれの事案に合わせて解雇通知書を作成してみてはいかがでしょうか。解雇通知を受け取った側に解雇理由やその後の処置がわかるよう明確に書くことが大切です。双方が納得できる解雇通知書の作成ができるよう、この記事が少しでもお役に立てることを願っています。

 

まとめ

解雇通知書を作成する際に使える!一般的な9つの文例
1.自然災害などによりやむを得ない場合
2.事業の継続不能を理由にした場合
3.成績不良の場合
4.事件を起こした場合
5.経歴詐称を行っていた場合
6.損害賠償を求める場合
7.無断欠席が続いた場合
8.風紀紊乱で他の労働者に悪影響を及ぼす場合
9.仕事態度が改められない場合

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