あなたの周りには現在「引きこもり」になっている人がいますか?内閣府が平成22(2010)年2月に実施した「若者の意識に関する調査(引きこもりに関する実態調査)」22によると、15歳~39歳における引きこもりの数は、69.6万人と推計されています。この調査における「引きこもり」とは、「自室からほとんど出ない」者から「自室からは出るが、家からは出ない」「ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」程度も含めており、社会的自立が出来ていない者全般を「引きこもり」と定義しています。
この結果だけを見てみると、相当な数の「引きこもり」が存在し、社会全体の深刻な問題であると考えられます。また、今現在は自分に関係がなくても、将来、自分のみならず家族や友人が「引きこもり」の身になる場合も十分に起こりえるのです。その様な時に、どう行動すればよいのか。引きこもりの状態から脱却し、社会に出て就職できるようになるまでどう解決していけば良いのかを5つのステップに分けて紹介していきます。
引きこもりから社会人へ!
ブランクから仕事に就く5つのステップ
ステップ1 家の外に出て他人と会話をする
「引きこもり」の人が何らかのきっかけがあって、今の状態から脱却して社会復帰したいと決心した時、社会に出て仕事をしようと決心したものの、いきなり周囲と同じ行動をとることは難しいです。引きこもりは他人と接触する機会が極端に少ない生活を送っています。そう簡単に社会に復帰できる人は限りなく少ないはずです。
社会に復帰する第一歩として、まずは、家族以外の人と話し、積極的に外への接触を図ることが大切です。友人がいれば外で食事をしたり、一人でも買い物に出かけた先で店員に商品について質問してみる等、どんなささいなことからでも構いません。他人と抵抗感なく会話できるようになれば、社会復帰へのはじめの扉を開いたと言えるでしょう。
ステップ2 ネット・ゲームを絶って規則正しい生活をする
引きこもりの多くは、同居している家族との接触を避け、昼間に寝て、夜間に活動する生活を送る人が多く、活動している間もゲームやチャットといったネット環境にどっぷりと浸かっています。外に出て他人と直接話すには必然的に昼間中心の活動することになります。「昼は起きて夜は寝る」本来の人間の生活時間に戻し、食事も3食しっかりとることで、単調だった生活にリズムが生まれてきます。そして規則正しい生活は、身体だけでなく心の健康ももたらします。心の健康は、本人が今後の人生を前向きに送りたいという希望への強い動機づけとなり、社会的自立にとても重要な役割を果たします。
ステップ3 家族の理解・助力を得る
夜間中心の生活から家族と同じ昼間の生活時間に戻すことで、必然と顔を合わす機会が増え、食事を共にしたり会話するようになります。朝起きて「おはよう」と挨拶を交わす、一緒に「いただきます」とご飯を食べる、本来は家族として当たり前の行動ですが、引きこもりの状態ではそれすらもすれ違う生活を送っていたのです。心の中ではとても心配している家族も、どう対応して良いか分からず、何もしてあげられないまま月日が過ぎてしまい、事態はますます悪化の一途を辿っていきます。
しかし、引きこもりだった本人が社会復帰を望み、ある日を境に変わろうと頑張りだしたら・・・。その前向きな姿勢を感じとり、その志を汲んで助けになってあげたいと理解を得ることに繋がっていきます。家族は喜んで協力してくれるはずです。家族の協力は本人にとって大きな心の支え、自信となります。それが社会に復帰して働きたいという意欲への原動力となっていくのです。
ステップ4 就業支援制度を利用し仕事を見つける
社会に出て働きたいという気持ちが芽生えたら、次に社会での自分の居場所を作ります。働く先を見つけるのです。とは言うものの、いきなりフルタイムで働くことは本人の身体的・精神的にも慎重に見極めなければなりませんし、このご時世でそう簡単には見つかりません。意気込んで就職活動をしても、希望に沿った仕事が見つからなかった場合に、自己嫌悪に陥り、また元の引きこもりに戻ってしまうなんてことにならぬよう注意が必要です。
そこで、国や自治体の就職支援制度やNPO法人等を積極的に活用し、就職に関する情報収集や将来について相談してみましょう。就職に有利な資格を取得することも希望の就職への近道かもしれません。簡単なアルバイトを探して始めてみるのも良いでしょう。興味を持ったアルバイトをすることで、自分でも気がつかなかった相性抜群の仕事と巡り会えるかもしれません。何事も行動あるのみです。
ステップ5 始めた仕事を短期間で辞めずに続ける
仕事が決まったら、「継続して続けること」が最も重要です。ここで挫けてしまっては今までの苦労が水の泡です。途中辛いこともたくさんあると思いますが、そこをぐっと堪えて頑張りましょう。努力している人には周囲の助けが付いてきますし、やがては仕事の要領もつかめてくるはずです。この踏ん張りがそれからの人生においての財産になります。
人生において嫌なこと、辛いことが全くない人なんていないはずです。困難をプラスに捉えて立ち向かう強さを身につけること。難しいことですが、自分は変わるんだという意志を思い出し、後押ししてくれる家族や友人のためにも踏ん張りどころです。それを乗り越え、仕事が楽しいと感じられた時が本当の意味での社会復帰なのかもしれません。
「引きこもり」は他人事にはできない身近な問題です。将来自分がなるかもしれません。大切なのは、その状態に陥ったときの対処の仕方です。すぐに解決できる問題ではありませんが、慎重かつ丁寧な行動が必要です。家族や友人等近しい人が引きこもりになった時、助けを必要とした際には是非この5つのステップを参考にして下さい。引きこもりから脱したいと決意したあなたの大切な人が少しでも早く社会復帰が出来ますように。
まとめ
引きこもりから社会人へ!
ブランクから仕事に就く5つのステップ
ステップ1 家の外に出て他人と会話をする
ステップ2 ネット・ゲームを絶って規則正しい生活をする
ステップ3 家族の理解・助力を得る
ステップ4 就業支援制度を利用し仕事を見つける
ステップ5 始めた仕事を短期間で辞めずに続ける